水野勝仁・甲南女子大学文学部メディア表現学科 日本映像学会第51回全国大会@神戸大学
発表資料
球状トレッドミルと周囲ディスプレイ型:頭部固定で身体(足裏)の動きと映像が連動。
example of a mouse performing the ‘fading beacon’ task.mp4
example of a mouse performing the ‘fading beacon’ task.mp4
小型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)型:マウスがHMDを装着。
MouseGoggles01.mp4
Pinke, D., Issa, J.B., Dara, G.A., Dobos, G., Dombeck, D.A. (2023). Full field-of-view virtual reality goggles for mice. Neuron, Volume 111, Issue 24, 3941-3952.e6.
頭上部の視覚領域は、ネズミが常に頭上からの脅威を監視するために、この領域を両眼で重複して見ているため、齧歯類の行動や生存にとって特に重要である。
iMRSIVシステムにおける仮想直線トラック課題では、従来のモニターベースのVRシステムと比較して、マウスがより迅速に課題に取り組むことが示されている。この現象は、視野全体が照らされることで矛盾する実験室のフレームが視認できなくなるためであると考えられる。さらに、両眼領域の立体照明による潜在的な奥行き情報が加わることで、より没入感のある体験が提供され、タスクへの集中力および空間認識能力の向上が促される可能性がある。
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Isaacson, M., Chang, H., Berkowitz, L. et al. (2025). MouseGoggles: an immersive virtual reality headset for mouse neuroscience and behavior. Nat Methods 22, 380–385.
パノラマディスプレイよりもMouseGogglesのほうが優れている可能性があるのは、ヘッドセットが関連性のない視覚刺激を効果的に遮断するため、仮想環境への没入度が高まることである。
MouseGoggles03.mp4
Judák, L., Dobos, G., Ócsai, K. et al. (2025). Moculus: an immersive virtual reality system for mice incorporating stereo vision. Nat Methods 22, 386–398.
我々のデータは、Moculusを使用した場合、大型モニターを使用する標準的なVRとは異なり、マウスが仮想環境を現実のものとして認識し、効果的な奥行き知覚を行っていることを示している。
<aside> 🐭
マウスがVR環境で現実と同様の反応を示すことは、マウスにとってその映像が単なる視覚刺激ではなく、行動を促す「現実」として機能していることを示唆する。しかし、私たちはマウスの主観的な体験を直接知ることはできない。
</aside>
研究者がマウスの主観的な「映像体験」を直接体験できないという困難。
私は、コウモリにとってコウモリであることがどのようなことなのか、を知りたいのである。だが、それを想像しようとすると、私の想像の素材として使えるものは私自身の心の中にしかなく、そのような素材ではこの仕事には役に立たないのだ。p. 280
目下のところわれわれは、想像力に頼る以外には──つまり体験する主体の視点をとってみる以外には──体験の主観的な性格について考えることがまったくできない。この現状は、新たな概念と新たな方法──自己投入や想像に依存しない一種の客観的な現象学──を考え出すことを要求しているとみなされるべきである。p. 294
マウスの客観的な行動や生理的データから、マウスの主観的体験を推測するアプローチ
研究者も「マウスが素朴実在論者である」と前提にしていることを示す「眼球」の映像。
Moculus02.mp4
Full field-of-view virtual reality goggles for mice01
Full field-of-view virtual reality goggles for mice01